坂茂デザインの
Nomadic museumがニューヨークのチェルシー地区
ピア54でまもなくオープンされる。この建築はコンテナを積層し、屋根を再生紙のチューブで支えている。建設はすべて素人の労働者によってなされた。建物は展示終了後、建物は解体されて別の場所に移設される。さらにエントランスにはスリランカから運ばれたティーバックで作られたカーテンが高さ12mの規模で吊るされる。(建設過程はこの
サイトを参照。)
ここでは建築のサスティナビリティで求められる、素材のリサイクルや建設資材の再利用性、そして誰もが施工・メンテナンス可能とする建設手段の容易さが追求されている。例えば市松模様に積層する
コンテナは4隅にあるツイストロックピンで固定されている。
3月5日から6月6日までコンテナのスペースを使って
Gregory Colbetの写真と映像が展示される。彼の写真はアジア、アフリカ、オーストラリアを旅して捉えた人間と動物のかかわりを主題とするという。展示内容と建築のコンセプトがうまく一致している。
坂さんはNYのクーパー・ユニオンで
ジョン・ヘイダックに師事している。ヘイダックが放浪する建築を作りつづけ、その仮設的な建築群がカーニバルのように都市の様相を一変させることを思い描いたように、彼もまたその後を追っている。
コンテナを使った建築はこれまで
LOT/EKや
Wes Jonesも取り組んできたことでそう珍しいことでもない。しかし明確な構法まで踏み込んで実現されたのはこれが初めてではないか。(ただ個人的に坂さんのストレートな社会的提案は時に正当すぎてためらいも覚えてしまう。建築はまともに取り組むと矛盾をはらむものだがそれが見えてこないのはなぜだろう。)
これまでコンテナ建築はモータリゼーションの産物であるコンテナつまり「移動倉庫」を居住空間に転用した試みでもあった。坂さんの視点が他と違うのは、コンテナを土地に固定するこれまでの試みに対して、コンテナの移動可能な特性を建築に持ち込んだことだろう。
かつて神戸の震災で家を失いコンテナに仮住まいする人の援助に通った経験がある。中には家の建て直しをやめて、そのままコンテナに住み続けることにした人がいた。素材そのものが弱い物性であってもメンテナンスの融通さが活かされて、仮設の場が継続性をもつことはしばしばある。彼の一時的な仮住まいは生涯の住まいとして、今も錆を落としながら雑草の敷地の中で建っているのだろうか。